化学反応と物質量

【化学変化と化学反応式】

物質が別の物質に変わる変化を化学変化または化学反応という。また,化学変化を表した式を化学反応式という。

例)「一酸化炭素COが酸素O2と反応して二酸化炭素CO2が生成する。

     2CO + O2 →  2CO2  (→の前後でCの数とOの数が合うように係数がついている

 
 
このとき,反応する物質(この場合COO2)を〔 
反応物 〕,反応によって生成する物質(この場合CO2)を〔 生成物 〕という。

 

例題 次の化学反応式に係数をつけて,反応式を完成させよ。

(1)  H2  +  O2  →  H2O

(2)  Na  +  Cl2  →  NaCl

(3)  Zn  +  HCl  →  ZnCl2  +  H2

(4)  Al  +  O2  →  Al2O3

 

(1)  2H2  +  O2  →  2H2O  (2)  2Na  +  Cl2  →  2NaCl

(3)  Zn  +  2HCl  →  ZnCl2  +  H2  (4)  4Al  +  3O2  →  2Al2O3

 

演習問題 次の (1) (6) の化学変化を化学反応式で示せ。

(1) 黒鉛Cが不完全燃焼して,一酸化炭素COが生じる。

(2) 窒素N2と水素H2からアンモニアNH3が生じる。

(3) アルミニウムAlを空気中で加熱すると,酸化アルミニウムAl2O3が生じる。

(4) マグネシウムMgを塩酸HClに加えると,塩化マグネシウムMgCl2と水素H2が生じる。

(5) 過酸化水素H2O2に酸化マンガン(W)を触媒として加え分解すると,水H2Oと酸素O2を生じる。

(6) エタンC2H6の燃焼。

 

(1) C + O2 → CO  (2) N2 + 3H2 → 2NH3  (3) 4Al + 3O2 → 2Al2O3

(4) Mg + 2HCl → MgCl2 + H2  (5) 2H2O2 → 2H2O + O2  

(6) 2C2H6 + 7O2 → 4CO2 + 6H2O

「〜を燃焼する」,「〜を酸化する」,「〜を空気中で加熱する」といった場合は,「〜」をO2と反応させる。このとき,反応物にCHがある場合,それぞれCO2H2Oになる。「触媒として…を加える」,「分解する」,「加熱する」といった言葉は,反応式を書く上では無視してよい。

 

【イオン反応式】

 イオンを含んだ化学反応式をイオン反応式という。作り方は通常の化学反応式と同じであるが,「→」の左右で+,−の和が合うように係数をつける

例) Ag + Cu → Ag + Cu2の係数を付ける

 先に+,−を合せる 

〔 2 Ag + 〔   〕Cu → 〔   〕Ag + 〔 1 〕Cu2

   (左辺+,右辺2+なので,左右とも2+になるようにつける)  

 次に原子の数を合せる

〔 2 〕Ag + 〔 1 〕Cu → 〔 2 〕Ag + 〔 1 〕Cu2

   Ag1つ,Cu21つは,それぞれAg1つ,Cu1つと考える)

                                        

例題 次の化学反応式の係数を記せ。係数が1の場合は,1を記入せよ。

(1) 〔   〕Fe3 + 〔   〕OH → 〔   〕Fe(OH)3

(2) 〔  〕Pb2 + 〔  〕Cl → 〔  〕PbCl2

(3) 〔  〕Fe + 〔  〕Cu2 → 〔  〕Fe3 + 〔  〕Cu

(4) 〔  〕Ag + 〔  〕OH → 〔  〕Ag2O + 〔  〕H2O

 

(1) 〔 1 〕Fe3 + 〔 3 〕OH → 〔 1 〕Fe(OH)3

(2) 〔 1 〕Pb2 + 〔 2 〕Cl → 〔 1 〕PbCl2

(3) 〔 2 〕Fe + 〔 3 〕Cu2 → 〔 2 〕Fe3 + 〔 3 〕Cu

(4) 〔 2 〕Ag + 〔 2 〕OH → 〔 1 〕Ag2O + 〔 1 〕H2O

 

例題 塩化アルミニウムAlCl3水溶液に水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えると,水酸化アルミニウムの白色沈殿が生成する。この変化をイオン反応式で表せ。

 

   Al3 + 3OH → Al(OH)3

 

【未定係数法】

例)次の化学反応式の係数を記せ。

〔  〕Cu+〔  〕HNO3 →〔  〕Cu(NO3)2 +〔  〕NO +〔  〕H2O

 上の例の係数は,これまでの方法(目算法という)ではつけにくい。一般的には目算法で係数をつけるが,複雑な反応式の場合,次の未定係数法によって係数を付けていく。

 
 

演習問題

次の化学反応式の係数を記せ。係数が1の場合は,1を記入せよ。

(1)  Cu +〔  HNO3 →〔  Cu(NO3)2 +〔  H2O +〔  NO2

(2) Cu +〔  H2SO4 →〔  CuSO4 +〔  H2O +〔  SO2

 

(1) 1 Cu +〔 4 HNO3 →〔 1 Cu(NO3)2 +〔 2 H2O +〔 2 NO2

(2) 1 Cu +〔 2 H2SO4 →〔 1 CuSO4 +〔 2 H2O +〔 1 SO2

 

【反応式の量的関係】

 化学反応式の係数の比は物質量〔mol〕の比に一致する。このことを利用して,化学反応における物質量〔mol〕,粒子数〔個〕,質量〔g〕,体積〔L〕といった量の関係を知ることができる。

 
 

CO 1.0molと反応するO2は,何molか。

 

    反応式の係数比より, CO 2mol と O2 1mol の割合なので,

    CO 1.0molでは,1×1.020.50mol

 

  CO 1.4molからCO2は何gできるか。C12O16

 

    反応式の係数比より, CO 2mol と CO2 2mol((1216×2)×288g) の割合なので,

    CO 1.4molでは,88×1.4261.662g

 

CO2 11gを生成するために必要なCOは標準状態で何Lか。

 

    反応式の係数比より,CO 2mol22.4×2L)とCO2 2mol(=(1216×2)×288g)の割合なので,

    CO2 11gでは,22.4×2×11885.6L

 
例題 
 次のメタンCH4の燃焼について,後の問いに有効数字2桁で答えよ。また,生成する水はすべて気体とし,気体はすべて標準状態とする。H1.0C12O16

  CH4 2O2 CO2 2H2O

(1)  4.0molCH4と反応するO2は何molか。  (2)  0.80molCH4から生成するCO2は何gか。

(3) 1.6gCH4から生成するH2Oは何molか。  (4) 6.6gCO2を得るのに必要なCH4は何g

(5) 15LCH4と反応するO2は何Lか。  (6) 5.0LCH4から生成するH2Oは何gか。

(7) 1.5×1023個のCH4分子から生成するCO2は何gか。

(8) 33.6Lのメタンと56.0Lの酸素を反応させた。反応が終了したときに残る物質は何か。また,その物質量は何molか。

(9) 2.4gのメタンと12.8gの酸素を反応させた。この反応せ発生し二酸化炭素は何Lか。また,生成した水は何gか。

(1) 8.0mol (2) 35g (3) 0.20mol (4) 2.4g (5) 30L (6) 8.0 (7) 11g

(8) メタンが0.25mol余る (9) 二酸化炭素3.4L 水5.4g